話題のアップリンク渋谷で「ハウス・イン・ザ・フィールズ」を見て、エシカル社会を想う。

先日、5月で閉館になるとニュースになったばかりのアップリンク渋谷で公開中の「ハウス・イン・ザ・フィールズ」観たのですが、とにかく映画の残像がすごい。

簡単に物語を説明すると、モロッコの山奥に暮らすアマズィーグ人(ベルベル人)の10代姉妹の視点から、家族や宗教含むコミュニティ、国が抱える問題までを描いたドキュメンタリー。なにより、二人の姉妹が目で語る姿がとにかく圧倒的に強い。伝統を歌と生活音で表現しているので映像はとても美しいのですが、それがゆえに、法律と実社会のギャップに戸惑う二人の心情がダイレクトに伝わってきて、途中から心が痛くて痛くて。

たまたま「人新生の資本論」をちょうど読み始めたこともあって、モロッコのある村のジェンダー論だけじゃなくて、グリーンウォッシュやアニマルウェルフェア、環境、労働問題まで考えさせられる、今の思考を深掘りできる作品でした。ちなみに監督は、世界的建築家であるザハ・ハディドさんの姪っ子であるタラ・ハディド監督。どうやら三部作の1作品目とのこと、続編もとても気になります。

民俗学系ドキュメンタリー好きな人だけじゃなくて、エシカルについて興味ある人にも大きな気づきのあるドキュメンタリー作品です。

▼「ハウス・イン・ザ・フィールズ」

モロッコの山奥に暮らすアマズィーグ人の姉妹、ハディージャとファーティマ。アトラス山脈の壮大な自然の中、自信の夢と、伝統や慣習のあいだで揺れ動く心のうちを親密な映像で紡いでいく。
監督・撮影:タラ・ハディド
出演:ハディージャ・エルグナド、ファーティマ・エルグナドほか
(モロッコ、カタール/2017年/86分/1:1.85/アマジグ語/原題:TIGMI N IGREN)
字幕翻訳:松岡葉子 配給・宣伝:アップリンク
https://www.uplink.co.jp/fields/

▼「人新生の資本論」
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1035-a/

コメントを残す